About GumHearts in Japanese Niizeki Hiromi
私が28年住むニューヨーク市の路上は、吐き捨てられたガムでいっぱいです。他人の口から唾液塗れで吐き出され、踏み付けられ、雨風にさらされ色も形も時間と共に変わります。誰にも意図されず、ただの偶然が重なり『ハート』の形になった時、偶然私が居合わせ携帯電話のカメラで撮影したのが『GumHearts』です。 私は、ガムの形や色を操作せず、見つけたもの・時間をそのまま記録しているので、ドキュメンタリー写真と言えます。私の撮影以降も、気象や環境と共に、形・色は変化し続けいつかは無くなるでしょう。だから、私との接点である『撮影日、時間、場所』を、各ガムハートのタイトルとしています。
私は、収入源の仕事と育児に, 時間と体力の多くを消耗し、制作活動が思うように出来ず疲れ切っていました。息子を乗せた乳母車を押しながら、『こんな移動時間に制作が出来たらどんなにすばらしいか。。。』と、首をうなだれ、路上のガムを眺めながら歩いていました。丁度買い換えた携帯電話のカメラの接写機能が、格段に改善されたのが2009年、面白い形のガムを見つけた時に、道に膝間付き撮影を始めました。当初たまに見かけるハート形のガムに関しては、撮影を避けていました。 『誰もが知るいわゆる幸せな形』に興味はありません。 ただある時、その『誰もが知るいわゆる幸せな形』に背を向けず、対面するべきではないかと、意識してハートの形を撮影し始めました。私にとって、『ハートの形』とは『他人の口から唾液塗れで吐き出され、踏み付けられでできた形』だから許せる形です。
偶然できたハート型のガムをみつけたら携帯電話のカメラで写真を撮って、gumhearts@gmail.comへお送りください。将来のパブリックアートの一部になります。